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【令和8年度改定】精神科訪問看護の支援内容と経営のすべて|制度から実務ポイントまで解説

【令和8年度改定】精神科訪問看護の支援内容と経営のすべて|制度から実務ポイントまで解説

公開:

2024年2月13日

更新:

2026年6月16日
精神科訪問看護の現状や支援内容、関連制度、経営について解説するタイトル画像

目次

「精神科訪問看護を始めたいけれど、専門性が高くてハードルが高い気がして……」
「特化型のステーションにしたら、ちゃんと経営が成り立つのか不安」

そう感じている管理者も多いのではないでしょうか。

実は、令和8年度(2026年度)の診療報酬改定において、精神科訪問看護を支えるための評価が大きく見直されました。

特に、精神科に特化したステーションを評価する「機能強化型4」の新設や、大幅な賃上げを支援する「ベースアップ評価料」の引き上げなど、経営の安定化を強力に後押しする制度改正が行われています。

この記事では、精神科訪問看護の需要動向から、支援内容・対象制度、そして令和8年度改定を踏まえた経営のポイントまで、現場に近い視点でわかりやすく解説します。

※具体的な立ち上げ手順や資格要件などをまず確認したい方は、以下の実務ガイドを参考にしてください。

需要増と患者統計の推移


精神科訪問看護の需要は、年々着実に伸び続けています。
その背景には、精神疾患を抱える方の増加と、国が推進する「地域包括ケア」への移行という、大きな2つの流れがあります。

厚生労働省の患者調査によると、精神疾患を有する総患者数は約603万人(外来576万人・入院27万人)にのぼります。総数が600万人を突破したという事実は、ニーズの規模を物語っています。特徴的なのは、入院患者が減少傾向にある一方で、外来・在宅ニーズが年々拡大している点です。

データで精神科訪問看護の動向をみていきましょう。

精神疾患を有する患者数の推移は以下のとおりです。

精神疾患を有する患者数の推移グラフ(総患者数・外来・入院)
引用:R5年厚生労働省「市町村における精神保健相談支援体制の現状等」

精神疾患をお持ちの方の総患者数と外来患者数は年々増加していますね。
一方で、入院患者数は減少傾向ですね。6万人ほど減っています。

精神疾患を有する患者数の疾患別推移グラフ(認知症、気分障害、統合失調症など)
引用:R5年厚生労働省「市町村における精神保健相談支援体制の現状等」

疾患別では、加齢に伴う精神疾患の患者数の増加が目立ちますね。
精神疾患をお持ちでかつ介護も必要になる方の増加も容易に予測できます。

【地域移行政策とは?】

国は、精神疾患を抱える方が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、医療・障害福祉・介護・住まいを包括的に整備する「精神疾患にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を進めています。その中核を担うのが、訪問看護です。

精神病棟に入院していた方が退院する先は以下のとおりです。

精神病棟から退院した患者の退院先(家庭、介護施設、社会福祉施設等)の内訳グラフ
参考:R5年厚生労働省「市町村における精神保健相談支援体制の現状等」

多くの方がご自宅に帰られていますね。
精神科訪問看護で訪問するのは、家・介護老人福祉施設・社会福祉施設ですよね。合わせて74%ほど、年間2万人以上が退院後に訪問の対象者となり得るということですね!

地域移行で重要となる事業・サービスの調査結果グラフ
引用:R4年厚生労働省「訪問看護の対象者の理解」

病院から在宅への移行が進むにつれて、地域で暮らす精神疾患の利用者さんが増え、さまざまなサービスが整備されています。その中でも訪問看護の重要性の高さがわかりますね。

サービスを提供する事業所側も増えています。
精神科訪問看護療養費を算定した事業所数は、数年前の4,915箇所(令和3年)からさらに拡大し続けており、近年の推計では6,000箇所を超えているとみられます。需要の伸びに市場が応えている証といえるでしょう。

(参考:厚生労働省「令和6年度 訪問看護療養費実態調査」)

特化型経営のメリット


精神科の需要が高まる中で、精神科に特化した訪問看護ステーションへの注目も増しています。

【メリット】

  • 専門性でブランドを確立できる(他職種連携や、地域の課題解決への参画がしやすい)
  • 発症が若く長期利用者が多いため、経営が安定しやすい
  • 地域によっては精神科対応ができる事業所が少なく、ニーズを独占しやすい
  • 令和8年度改定で新設された「機能強化型4(月初日:9,030円)」の対象になりうる

【新設:機能強化型訪問看護管理療養費4とは?】

地域と連携して精神科訪問看護を提供するステーション向けの新区分です。主な要件は「常勤看護職4名以上・24時間対応・重点的支援を要する精神疾患患者の受け入れ実績・地域への研修実施」など。精神科特化型ステーションが目指す姿が、そのまま算定要件になっています。

【デメリット・注意点】

  • 精神科の専門性を持つスタッフの確保が難しい
  • 地域のニーズが少ない場合は利用者獲得に時間がかかる

特化型の立ち上げを検討する際は、まず地域ニーズの丁寧なリサーチが出発点となります。利用者の高齢化も見据えながら、緩和ケアや医療処置にも対応できる体制づくりを視野に入れておくとよいでしょう。

令和8年度改定の経営ポイント


令和8年度(2026年度)の診療報酬改定では、精神科訪問看護の経営に直結する改正が複数行われました。特に重要な3点を押さえておきましょう。

【ポイント①:ベースアップ評価料の大幅引き上げ】

人件費の確保を後押しする「ベースアップ評価料(Ⅰ)」が、現行の780円から1,050円(令和8年)に増額。継続的に賃上げを実施している事業所はさらに1,830円まで引き上げられます。対象職員の範囲も拡大されており、採用・定着に直結します。

【ポイント②:訪問看護物価対応料の新設】

光熱費・物価高騰に対応する新加算として「訪問看護物価対応料」が新設されました。月の初日は60円、2日目以降は20円が加算されます(令和9年度からはその2倍)。小さな額に見えますが、制度として「物価上昇分を公的に補填する」仕組みができたことは、経営の安定という面で重要な意味を持ちます。

【ポイント③:同一建物への訪問・20分ルールの厳格化】

グループホームや高齢者住宅などへの集合訪問を行っている場合は特に注意が必要です。

  • 20分を下回る訪問は算定不可(安否確認のみは認められない)
  • 同一建物への訪問は、同一日の利用者数・月の訪問日数により多段階で点数が異なる

この多段階の逓減計算は非常に複雑で、手計算での管理はほぼ現実的ではありません。請求漏れや誤算定を防ぐには、自動計算に対応したソフトの活用が欠かせません。

精神科訪問看護の特化型ステーション支援・運営体制イメージ

再発防止と社会復帰の支援


精神科訪問看護の目的は、大きく次の3つです。

  1. 再発予防・服薬支援:服薬の確認、受診支援、コミュニケーションを通じた病状の観察
  2. 生活支援・生活リズム・利用者の自立:日常生活に必要な技能(精神的・身体的)の維持と向上
  3. 社会資源の活用支援・社会復帰へ向けてのサポート:役所での手続き同行、復学・就職サポートなど

服薬管理や状態把握を通じて症状の悪化を早期に防ぎ、入院を回避することは、利用者の生活の質を守ることに直結します。
また、段階的に社会生活へ戻っていくプロセスをそばで支える役割は、精神科訪問看護ならではの醍醐味でもあります。

利用者層データと家族支援


精神科訪問看護の対象は、精神疾患を抱えている方とそのご家族です。他の訪問看護と大きく異なるのは、この「家族を含めた支援」という視点です。

家族自身が健康問題を解決し、健康的な家族生活を維持・向上できるよう、予防的・支持的・治療的な看護を提供します。

利用者層のデータをみると、利用者数は年々増加傾向にあり、特に40〜50歳代が中心です。主たる病名別では、統合失調症の方が約半数を占めています。

精神科訪問看護の利用者数推移グラフ(年次別推移)
精神科訪問看護の利用者の年齢階級別内訳グラフ

引用:R4年厚生労働省「訪問看護の対象者の理解」

主たる病名分布は以下のとおりで、統合失調症の方が半数を占めます。

精神科訪問看護利用者の主たる精神疾患名別分布グラフ
引用:R2精神科訪問看護に係る実態及び精神障害にも対応した地域包括ケアシステムにおける役割に関する調査研究


GAF尺度別の人数分布は以下のとおりで、GAFスコア60から51の、中等度の症状か、社会的・職業的・または学校の機能における中等度の障害をお持ちの方が最も多くなっています。

精神科訪問看護利用者のGAF(機能の全体的評定)尺度別人数分布グラフ
引用:R4年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査

※GAF尺度の具体的な判定基準や点数の付け方については、以下の解説記事をご覧ください。

多岐にわたる具体的なケア


精神科訪問看護で提供しているケアの上位は以下のとおりです(R4年厚労省調査)。

順位 ケア内容 実施割合
1位 精神症状の観察 88.2%
2位 心理的支援 62.4%
3位 服薬援助 57.2%
4位 家族への指導・支援 38.3%
5位 サービスの連絡調整 28.0%
6位 リハビリテーション 17.1%
(参考:R4年厚生労働省「訪問看護の対象者の理解」

血糖測定や創傷処置などの医療ケアは10%以下と少なく、精神・心理的なサポートと社会生活への支援が中心であることがわかります。これは、精神科訪問看護の専門性の方向性を理解するうえで重要な視点です。

精神科訪問看護に関わる公的制度(自立支援医療や手帳など)のイメージ

精神科訪問看護の運営において、医療費の公的助成制度や診療報酬改定への対応は不可欠です。

※新設された機能強化型Type4の要件や「同一建物20分ルール」の対策は、以下の記事で解説しています。

まずは、利用者が使える基本的な医療費助成や手帳の制度から見ていきましょう。

精神科訪問看護の利用者は、経済的な不安を抱えている方も少なくありません。在宅で使える制度を知っておくことで、日頃の訪問の中での相談対応や関係機関との連携がぐっとスムーズになります。

精神科訪問看護利用者の保険種別をみると、国民健康保険の利用者が最も多く、生活保護の利用者も3割以上を占めます。

精神科訪問看護利用者の保険種別(国保、生活保護等)の利用状況グラフ
引用:R2精神科訪問看護に係る実態及び精神障害にも対応した地域包括ケアシステムにおける役割に関する調査研究

筆者が勤務するステーションでも、精神障害を抱える利用者から経済的な不安をおききすることがよくあります。
社会復帰など今後の生活への不安をお持ちになることも多く、精神障害者が在宅で利用できる制度について知っておくことで、日頃の訪問の中で相談にのり、関係機関とも連携しやすくなります。

手帳の等級と受けられる支援


精神障害者保健福祉手帳は、精神障害のため長期にわたり日常生活や社会生活への制約がある方を対象とした手帳で、全ての精神疾患が対象です(知的障害は療育手帳が対象。ただし発達障害と知的障害の重複なら両方取得可能)。

交付から支援を受けるには、精神障害による初診日から6か月以上が経過していることが条件です。

1級 ほとんど一人での生活が困難な方
周囲の人の援助がなければ、ほとんど自力だけでは生活を送ることができない程度にある方(金銭管理が困難など)
就職支援・税金控除・公共料金割引など
2級 日常生活に著しい制限がある方
必ずしも周囲の人のサポートが必要なわけではないが、日常生活は困難な程度の方(一人では適切な対処ができないなど)
就職支援・税金控除・公共料金割引など
3級 日常生活・社会生活に一定の制限がある方
日常生活、社会生活に一定の制限がかかる、もしくは制限をかける必要がある程度の方
就職支援・税金控除・公共料金割引など
参考:厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」

医療費軽減と公費併用の仕組み


【自立支援医療(精神通院医療)制度】

精神疾患(てんかんを含む)で通院による精神医療を継続する必要がある方に、医療費を軽減する制度です。訪問看護療延費にも適用されます。

利用するためには、ステーション側が「指定自立支援医療機関」として都道府県・市等に申請する必要があります。症状が安定していても再発予防のために継続通院が必要と判断された方も対象です。

【重度かつ継続とは?】

統合失調症など、医療費が高額な治療を長期間続けなければならない方には「重度かつ継続」の区分が適用され、さらに自己負担が軽減されます。

【重度心身障害者医療費補助制度(福祉医療)】

重度の身体的または精神的障害を持つ方の医療費を自治体が助成する制度で、訪問看護療養費にも適用されます。障害者手帳1〜3級(自治体により異なる)をお持ちの方が対象です。

【自立支援医療との併用】

自立支援医療と重度医療費補助制度の両方を利用できる方の場合、自立支援医療で軽減された自己負担をさらに重度医療で軽減するという使い方になります。

精神科訪問看護実践における管理者の困難の調査イメージ

精神科訪問看護における管理者の困難について研究した「管理者の認識する精神科訪問看護実践における困難」によると、大きく「制度上の困難5つ」と「実践に対する困難4つ」が報告されています。

【制度上の主な困難】

  • 導入までの調整の複雑さと不確実さ
  • 援助体制の頻回な調整
  • 常時の高緊張状態
  • 専門性を高める機会の少なさ
  • 専門職種間連携の難しさ

これらに対し、制度面では令和8年度改定による評価の充実(機能強化型4の新設、加算の拡充)がその解決を後押しします。

【ステーション側でできる対策】

  • 保健師・作業療法士など多職種での対応体制の構築
  • 精神保健福祉士(PSW)の雇用による相談機能の強化
  • 関係機関と連携した包括的支援マネジメント

また、令和8年度から義務化された「訪問開始・終了時刻の記録」など、記録の厳格化への対応も管理者の重要な役割です。訪問前後の時刻を正確に記録・管理できる体制をあらかじめ整えておきましょう。

なお、複数名精神科訪問看護加算は、精神科以外の訪問看護と異なり1日あたりの訪問回数ごとに加算でき、訪問のたびに算定できます(看護補助者または精神保健福祉士との同行を除く)。

精神科訪問看護に関するよくある質問(FAQ)のイメージ

Q. 訪問看護と精神科訪問看護は、同じ利用者に併用できますか?


⇒ 両方の同時算定はできません。

精神科訪問看護を利用中の方が、がんや心不全などの疾患を発症した場合でも、引き続き精神科訪問看護が必要であれば、精神科以外の主治医が精神科主治医に情報提供し、精神科訪問看護指示書に内容を記載することで継続できます。

ただし、理学療法士が訪問する場合は精神科訪問看護療養費を算定できません。算定漏れ・誤りが起きやすい部分ですので注意しましょう。

Q. 精神障害をお持ちの方の外出支援は行えますか?


⇒ できます。

精神障害をお持ちの方は、外出への不安や意欲の低下で外出が難しいことがあります。自立支援を目的として、一緒に近所を散歩したり買い物に行ったりすることで、気分転換や自信の向上をサポートできます。

精神科訪問看護のポイントまとめのイメージ

退院後に地域で暮らす精神障害をお持ちの方が、安心して治療を継続しながら生活を送れるよう支えていく精神科訪問看護。

高い専門性が求められる一方で、令和8年度の診療報酬改定では、その専門性を評価する仕組みが明確に強化されました。機能強化型4の新設・ベースアップ評価料の引き上げ・物価対応料の新設など、取り組む事業所への公的サポートは充実してきています。

大切なのは、地域のニーズを見極め、自事業所の強みを活かして差別化を図ること。

そして増加する利用者の高齢化も見据えながら、精神ケアと医療ケアを合わせて提供できる柔軟な体制を育てていくことが、これからの精神科訪問看護ステーションの経営の核となるでしょう。

ぜひこの記事を参考に、地域に根ざしたステーション経営の第一歩を踏み出してください。


精神科訪問看護では、利用者様との関係構築や他職種連携に多くの時間と労力を使います。それに加えて、自立支援医療の公費管理や、令和8年度から始まった複雑な同一建物逓減の計算を手作業で行うのは、管理者やスタッフにとって大きな負担です。

訪問看護ソフト「えがおDE看護」は、精神科特有の請求データをチェック一つで作成可能。同一建物減算の自動算定(包括型訪問看護にも対応)や、自立支援医療公費の登録・管理もシンプルに行えるため、月末月初の業務を大幅に効率化できます。

  • チェック一つで、精神科の請求データを作成
  • 自立支援医療公費の登録・管理も楽々
  • 同一建物減算を自動で算定(包括型訪問看護対応)

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