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【令和8年度診療報酬改定】訪問看護の「物価対応料」とは?算定要件や点数、請求のコツ

【令和8年度診療報酬改定】訪問看護の「物価対応料」とは?算定要件や点数、請求のコツ

公開:

2026年7月7日

更新:

2026年7月7日
令和8年度診療報酬改定の訪問看護物価対応料について解説する訪問看護師(イメージ画像)

目次

「ガソリン代や光熱費が高くなっているのに、基本報酬だけではやりくりが厳しい」

そう悩む一方で、新しい加算が増えると「また請求業務が難しくなるのではないか」と身構えてしまう管理者の方は少なくありません。こうした日々のコスト増加と事務負担の板挟みを解消するために、令和8年度(2026年度)の診療報酬改定で新設されたのが訪問看護物価対応料です。

この記事では、面倒な申請や設定に頭を悩ませたくない管理者に向けて、物価対応料の基本的な算定要件や点数、さらには利用者様へスムーズに説明するコツをわかりやすく解説します。

💡 この記事を読めばわかること

  • 申請や事前の届出は不要:施設基準の届出なしで、すべての訪問看護ステーションが今すぐ算定可能
  • 医療保険のみが対象:医療保険の訪問看護(管理療養費または包括型)のみ適用され、介護保険は対象外
  • 経営改善と説明のコツ:年間十数万円の経営改善効果シミュレーションと、利用者向け説明テンプレートを掲載

 

訪問看護物価対応料の目的と背景(イメージ画像)

物価対応料は、近年の物価や光熱費の高騰からステーション経営を守るための新しい仕組みです。まずは、なぜこの加算が作られたのか、その目的と現場への影響を解説します。

物価高騰(ガソリン代・光熱費)からステーションを守るための新加算


訪問看護の現場では、日々の移動に使う車のガソリン代や、ステーションの光熱水費、さらに使い捨て手袋やガーゼといった衛生材料費の急激な値上がりが続いています。これらはステーションが負担する費用で、経営を圧迫する大きな原因となっています。

特に小規模なステーションほど、これらのコスト増を自社だけで吸収するのは困難です。

地域での訪問看護サービスを安定して継続できるようにするために、国は診療報酬改定において、物価高騰の影響を抑えるための支援策として物価対応料を設けました。

1日あたり数十円の上乗せが必要とされる理由


物価対応料として上乗せされる金額は、1日あたり20円から60円という小さな単位に設定されています。

一見すると「数十円のために請求作業を増やすのは手間の割に合わない」と感じるかもしれません。しかし、毎日多くの訪問を重ねるステーションにとって、この数十円の積み重ねは、物価上昇によるコスト増を相殺するための貴重な経営原資となります。

関連記事 令和8年度診療報酬改定の全体スケジュールや、その他の新設加算に関する最新情報については、以下の記事で詳しく解説しています。
≫ 【2026年度】訪問看護の診療報酬改定まとめ|スケジュールと賃上げ・DXへの影響

 

訪問看護物価対応料の算定要件と点数(イメージ画像)

物価対応料を正しく算定するためには、対象となる保険や具体的な点数のルールを把握する必要があります。ここでは、管理者として知っておくべき基本的な条件をわかりやすく整理しました。

介護保険は対象外!医療保険の訪問看護が対象となるルール


物価対応料は医療保険の訪問看護のみが対象で、介護保険(要介護・要支援認定)には適用されません。医療保険が適用されるのは、主に以下のような方々です。

  • 厚生労働大臣が定める疾病(末期がんや難病など)の方
  • 特別訪問看護指示書が交付されている期間の訪問
  • 介護保険の認定を受けていない医療保険加入者の方

適用保険は病状や公的ルールで決定するため、利用料金を抑えるために自由に保険を選ぶことはできません。

関連記事 訪問看護で医療保険が適用される具体的な条件や、介護保険との違いについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
≫ 訪問看護で医療保険が使える条件とは?介護保険との違いを徹底解説

面倒な申請や書類は一切なし!すべてのステーションが届出不要で算定可能


改定のたびに、多くの管理者を悩ませるのが、施設基準の届出や事前の申請書類の作成です。

しかし、物価対応料にはそのような面倒な手続きはありません。算定要件を満たしたすべての訪問看護ステーションが、届出なしで今すぐに算定を始めることができます。

書類仕事にかかる余計な事務負担を増やすことなく、日々のレセプト請求時に項目を追加するだけで算定が可能です。

月初日と2日目以降で異なる具体的な算定点数


物価対応料の点数は、利用者が受けている基本療養費の区分や、その月の訪問日数によって変動します。

具体的には、通常の訪問看護管理療養費を算定する「物価対応料1」と、包括型訪問看護療養費を算定する「物価対応料2」の2つに分かれています。

それぞれの算定区分と具体的な上乗せ額(点数)は以下のとおりです。

算定区分 対象となる利用者 算定するタイミングと金額(1点=10円)
物価対応料1 訪問看護管理療養費(区分02)を算定する利用者 ・月の初日の訪問:6点(60円)
・月の2日目以降の訪問:2点(20円)
物価対応料2 包括型訪問看護療養費(区分04)を算定する利用者 ・訪問回数に関わらず一律:2点(20円)

参照:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】(PDF)p.16-17」

通常の医療保険利用者であれば、毎月最初の訪問日だけ60円を算定し、同じ月の2回目以降の訪問では毎回20円を上乗せする形になります。

【重要】令和9年度(2027年6月)からは点数がさらに2倍にアップ


この物価対応料は、2026年6月以降の物価動向を見据えた段階的な制度設計となっています。

そのため、新設から1年が経過する令和9年(2027年)6月からは、国によって点数が現在の2倍に引き上げられることがあらかじめ決定しています。

令和9年6月引き上げ後の具体的な金額は以下のとおりです。

  • 物価対応料1:月の初日 120円(12点)/ 2日目以降 40円(4点)
  • 物価対応料2:一律 40円(4点)

今後も物価高が続くことを見据えた制度設計になっており、1年後からはさらに上乗せ額が増えてステーション経営の支えになります。

 

訪問看護ステーションの収益シミュレーション(イメージ画像)

「1回数十円の加算で経営が助かるのか」という疑問に対し、常勤スタッフ4名規模(月400回訪問/うち医療保険3割)のステーションを例に、具体的な補填効果を試算します。

常勤スタッフ4名規模のステーションでの試算例


医療保険の利用者を20名(それぞれ月に平均6回訪問)とした場合、補填額(相殺できる経費)は以下のようになります。

  • 月初日の訪問:60円 × 20名 = 1,200円
  • 2日目以降の訪問:20円 × 100回 = 2,000円
  • 1ヶ月の合計補填額3,200円

医療保険の割合が多いステーションほど、この効果はさらに大きくなります。

毎日の積み重ねで年間十数万円の経費増を相殺する効果


「月数千円程度の補填では、高騰する経費をカバーしきれない」と感じるかもしれません。しかし、物価対応料の大きな強みは、算定にかかる事務負担がほぼゼロであることにあります。

他の加算のように面倒な届出書類を準備する必要はなく、最初のシステム設定さえ済ませておけば、毎月のレセプト請求時に自動で上乗せされます。つまり、余計な人件費や労力をかけることなく、年間数万円の経費を相殺できることになります。

月々3,200円の補填は小さく見えますが、年間で換算すると 38,400円 分の経費を相殺できる計算です。

もし、精神科訪問看護や難病の利用者が多く、医療保険の訪問回数が月に200回(利用者は30名)あるステーションであれば、月間5,200円、年間で 62,400円 が補填されます。

さらに、令和9年6月から点数が2倍になると、年間で 124,800円 の経費の補填効果が生まれます。

ステーション規模(モデル) 医療保険の利用者数 月間総訪問回数 月間補填額
(2026年6月〜)
年間補填額
(2026年6月〜)
2年目以降の年額
(2027年6月〜)
小規模(医療保険少なめ) 20名 120回 3,200円 38,400円 76,800円
中規模(精神科・難病中心) 30名 200回 5,200円 62,400円 124,800円
大規模(精神科・難病多数) 50名 350回 9,000円 108,000円 216,000円

年間で十数万円のまとまった経費が補填されれば、ガソリン代や衛生消耗品の購入費用の一部をまかなえます。手間をかけずにステーションの負担を減らせるのが、この加算の本来のメリットです。

関連記事 今回の料金変更に含まれる「ベースアップ評価料」の仕組みや、ステーションでの活用法については、以下の記事で詳しく解説しています。
≫ 【訪問看護】ベースアップ評価料の申請・計算・配分方法ロードマップ

 

利用者や家族への説明方法(イメージ画像)

たとえ数十円の料金変更であっても、事前に説明がなければ「何も聞いていない」とトラブルに発展することがあります。利用者の不安をなくし、同意書の改訂や再締結をスムーズに行うためのポイントを解説します。

値上げによる不安を与えない!利用者負担額の具体的な伝え方


「点数が高くなります」と制度の話ばかりを伝えると、利用者は「どれほど負担が増えるのか」と身構えてしまいます。

説明の際は、「点数」ではなく、「実際の自己負担額(円単位)」で伝えるのが基本です。自己負担割合に応じて、以下のように伝え方を工夫しましょう。

「1回の訪問につき、自己負担が1割の方であれば、2円から6円の上乗せになります。月額に換算すると、数十円から数百円程度です」

このように具体的な数字で提示することで、利用者の心理的ハードルを下げ、不要な心配を取り除くことができます。

個別説明よりも「料金改定の総合案内」として通知するメリット


物価対応料だけで個別に説明資料を作り、各家庭を回って同意をもらうのは、現場のスタッフにとって大きな負担になります。

実務的なお勧めは、ベースアップ評価料など、今回の改定にともなう複数の料金改定項目を一つにまとめた「料金改定の総合案内(お知らせ)」を配付する方法です。案内文に改定項目をまとめて記載し、重要事項説明書の改訂版と合わせて一括で同意をもらうことで、説明の手間を最小限に抑えられます。

【重要】令和8年度 診療報酬改定に伴う料金変更についてのご案内

いつも〇〇訪問看護ステーションをご利用いただき、心より感謝申し上げます。

このたび、国の定める診療報酬の改定(令和8年6月実施)にともない、訪問看護における加算制度および料金体系が一部変更されました。

これらは、昨今の急激な物価高騰(ガソリン代や消耗品費)への対応、および看護スタッフの賃上げを行い、皆様にこれまでと変わらない安心・安全なサービスを継続して提供するための公的な見直しとなります。

これにともない、医療保険で訪問看護をご利用の皆様におかれましては、自己負担額が以下のとおり変更となりましたので、ご確認いただけますようお願い申し上げます。

■ 主な改定項目と自己負担額の目安(※自己負担が1割〜3割の場合)

  1. 訪問看護物価対応料(物価高騰への対応)
    ・月の最初の訪問日:約6円〜18円の上乗せ
    ・月の2日目以降の訪問:約2円〜6円の上乗せ
  2. 訪問看護ベースアップ評価料(看護スタッフの賃上げ対応)
    ・月額:約[ 〇〇 ]円〜[ 〇〇 ]円の変更(※ステーションの算定区分によります)
  3. [任意項目] 訪問看護医療情報連携加算(オンラインでの情報連携)
    ・月1回:約100円〜300円の上乗せ(※対象となる利用者様のみ)

※ご利用者様の自己負担割合や当月の訪問回数によって、実際の増額分は異なります。具体的な金額などでご不明な点がございましたら、お気軽にステーションまでお問い合わせください。

ご利用者様およびご家族様にはご負担をお願いすることとなり大変恐縮ですが、今後ともスタッフ一同、より質の高い看護ケアに努めてまいります。何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

〇〇訪問看護ステーション
管理者 〇〇 〇〇

 

訪問看護の請求事務効率化(イメージ画像)

令和8年度の診療報酬改定で新設された「物価対応料」は、物価高騰に直面するステーション経営を支える重要な制度です。今回のポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 物価対応料とは:医療保険の利用者を対象に、物価高騰対策として新設された加算
  • 自己負担額の変更:1回あたり数円〜十数円程度の微増(1〜3割負担の場合)
  • 利用者への説明:ベースアップ加算などの他の改定と合わせて「料金改定の総合案内」として通知するのが実務上スムーズ

度重なる改定や新設加算への対応は、現場の管理者にとって少なからず心理的・事務的な負担となります。しかし、これらはステーションを健全に維持し、これからも地域へ質の高い看護を届け続けるための大切なステップです。

できるだけ事務負担を減らし、本来の看護に集中できる環境を整えていきましょう。

法改正や毎月の算定チェックによる事務負担を最小限にする方法


医療保険の利用者ごとに、毎回「最初の訪問日かどうか」を手作業で確認するのは手間がかかり、請求ミスや返戻のリスクにもつながります。

忙しい月末・月初のプレッシャーをなくし、本来の看護に集中するためには、月初判定や法改正に自動対応する訪問看護ソフトの活用が効果的です。

📢 面倒な算定ルールや法改正は「えがおDE看護」にお任せください

訪問看護専用スケジュール・請求ソフト「えがおDE看護」なら、今回の「物価対応料」のような月初日と2日目以降の自動判別もすべてソフトが行います。

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