訪問看護ステーション管理者の兼務に関する2024年改定のポイント
2024年の介護報酬改定では、管理者の兼務に関する基準が大きく変更されました。
≫引用:R6厚生労働省「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」 の一部改正について
管理者兼務についての新旧基準比較表
運営基準上、管理者は原則として常勤専従とされていますが、これまでも兼務可能な条件はありました。以下の表で、新旧の基準を比較してみましょう。
【表:管理者兼務の新旧基準比較】
項目 | 旧基準 | 新基準 |
兼務可能範囲 | 同一敷地内または隣接する施設 | 同一事業者による他の事業所・施設等 |
兼務の条件 | 管理上支障がない場合 | 利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握でき、一元的な管理・指揮命令が可能な場合 |
改定による主な変更点と実務への影響
2024年の改定によって、訪問看護ステーション管理者の業務にどのような影響があるのでしょうか。主な変更点とその実務への影響を以下の表にまとめました。
変更点 | 内容 | 実務への影響 |
1. 兼務可能範囲の拡大 | 同一敷地内や隣接施設に限らず、同一事業者による他の事業所・施設等との兼務が可能に | ・複数の事業所を効率的に管理できる可能性が拡大 ・経営の効率化や人材の有効活用が進む可能性 |
2. 兼務の条件の明確化 | 利用者へのサービス提供の質を担保しつつ、一元的な管理・指揮命令が可能であることが条件 | ・管理者の責務がより明確に ・適切な業務遂行と質の高いサービス提供の両立が求められる |
3. 管理者の責務の具体化 | 利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握することが明記 | ・現場の状況把握がより重要に ・ICTツールの活用など、効率的な情報収集方法の検討が必要 |
この改訂により、より広範囲での兼務が可能になる一方で、各事業所の運営状況を適切に把握し、質の高いサービスを提供することが、これまで以上に重要になってきます。
訪問看護ステーション管理者が兼務できるケースと制限事項
兼務が可能なパターンと具体例
同一ステーション内での看護職員との兼務
訪問看護ステーション内で管理者と看護職員を兼務することが可能です。
例:午前中は管理業務に専念し、午後は訪問看護業務 |
他の訪問看護ステーション管理者との兼務
同一事業者が運営する他の訪問看護ステーションの管理者を兼務できます。
例:A訪問看護ステーションとB訪問看護ステーションの管理者を1人で担当する |
訪問介護やケアマネージャーとの兼務可能性
同一事業者が運営する訪問介護事業所やケアマネジメント事業所との兼務も可能です。
例:訪問看護ステーション管理者と居宅介護支援事業所のケアマネージャーを兼務する |
兼務が制限されるケースと注意点
管理する事業所数が多すぎる場合の問題
管理する事業所数が多すぎると、適切な管理が困難になる可能性があります。各事業所の運営状況を適切に把握し、管理できる範囲内に留めることが重要です。
併設入所施設での看護業務との兼務の制限
併設される入所施設で看護業務を行う場合、管理業務に支障をきたす可能性があります。入所施設での勤務時間が極めて限られている場合を除き、兼務は避けるべきでしょう。
緊急時対応が困難な体制での兼務制限
事故発生時などの緊急時に、速やかに対応できない体制での兼務は制限されます。緊急時の対応体制を整備し、常に迅速な対応ができるようにしましょう。
訪問看護ステーション管理者の兼務が常勤換算と業務に与える影響
兼務時の常勤換算計算方法と注意点
訪問看護ステーションにおける管理者の兼務と常勤換算については、自治体によって解釈や運用に違いがあることが分かっています(いわゆるローカルルール)。
例えば、管理者業務時間を常勤換算に含める地域(香川県など)もあれば、含めない地域もあります。
【兼務時の常勤換算の考え方(例)】
- 2事業所兼務の場合:1日4時間ずつ → 常勤換算0.5
- 4事業所兼務の場合:1日2時間ずつ → 常勤換算025
【注意点】
- 地域の規制確認:管理者兼務に関する地域の規制や解釈を必ず確認しましょう。
- 適切な時間配分:各事業所に十分な管理時間を確保できているか検討が必要です。
- 人員基準との整合性:常勤換算2.5人の人員基準を満たしているか、管理者の兼務時間も考慮して確認しましょう。
≫ローカルルールについて:「【知らないと減算⁈】訪問看護の2024年介護報酬改定|リハビリの変更点など徹底的に読み解きます!」
兼務による業務負担とその影響
兼務拡大により、以下のような影響が考えられます。
メリット | デメリット |
---|---|
1. 複数事業所の効率的な管理 | 1. 管理者の業務負担増加 |
2. 経営戦略の幅が広がる可能性 | 2. 各事業所への対応時間の減少 |
3. サテライト事業所の事業所化による展開 | 3. 緊急時の迅速な対応が困難になる可能性 |
これらの影響を十分に考慮し、適切な兼務体制を構築することが重要です。
まとめ
2024年の制度改定により、兼務の可能性が広がりましたが、同時により高度な管理能力と柔軟な対応力が求められるようになったとも言えます。
変更点を踏まえ、最適な兼務体制を構築し、効率的な運営と質の高いサービス提供の両立を目指しましょう。
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