【速報】訪問看護の処遇改善加算が2026年から開始|訪問リハ・居宅介護支援も対象に

2026年の介護報酬改定で、処遇改善加算の対象範囲が大きく拡大されます。これまで対象外だった訪問看護や訪問リハビリ、居宅介護支援も対象となります。
これまで対象外だった訪問看護
介護職員等処遇改善加算は、これまで介護サービスのみが対象でした。訪問看護は医療保険扱いのため、処遇改善加算の対象外とされてきました。
2024年には訪問看護ベースアップ評価料が新設されましたが、算定要件の複雑さや事務負担の重さから、多くの事業所が申請を見送った経緯があります。
2026年から変わること
2026年6月から、以下のサービスが初めて処遇改善加算の対象になります。
- 訪問看護(介護予防訪問看護を含む)
- 訪問リハビリテーション(介護予防訪問リハビリテーションを含む)
- 居宅介護支援(介護予防支援を含む)
これにより、在宅医療・介護を支える職種全体で処遇改善が可能になります。
訪問看護の処遇改善制度は2つ|2025年12月からの補助金と2026年新加算の違い

2026年の介護報酬改定による処遇改善加算と、すでに2025年12月から対象期間に入っている賃上げ支援事業は、別々の制度です。両者の違いを正確に理解することが、適切な対応の第一歩となります。
大きな違いは以下のとおり時期と財源です。
| 項目 | 2025年補助金 | 2026年新加算 |
| 正式名称 | 介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業 | 介護職員等処遇改善加算 |
|---|---|---|
| 期間 | 令和7年12月〜令和8年5月(6ヶ月間) | 令和8年6月1日〜(恒久的) |
| 財源 | 補助金(国の予算) | 介護報酬(加算) |
| 位置づけ | 緊急措置 | 恒久的制度 |
| ステータス | 対象期間中!今すぐ申請準備を | 2026年6月から開始 |
訪問看護ステーションの管理者が今優先すべきは2025年12月からの補助金です。この補助金は予算に限りがあり、申請期限を過ぎると受給できません。2026年の改定と混同せず、補助金申請を優先する必要があります。
2025年末に国から要綱が発表され、各都道府県でも順次、申請案内が開始されます。自治体によって申請受付の時期が異なることが予想されるため、見落としがないか確認が必要です。
【3世代比較】訪問看護の処遇改善加算|ベースアップ(2024) vs 補助金(2025) vs 新加算(2026)

2024年ベースアップ評価料の経験から、計算の複雑さを懸念する声も多いでしょう。ここでは、3つの制度を比較し、それぞれの特徴を整理します。
なぜ2024年のベースアップ評価料は不人気だったのか
2024年に新設された訪問看護ベースアップ評価料は、特に区分Ⅱの算定を見送った訪問看護ステーションが多く見られました。主な理由は以下のとおりです。
- 対象職員の給与総額の1.2%増という算定要件の計算が複雑
- 基本給と手当の詳細な計算が必要
- 小規模ステーションでは、事務負担に対して加算額が少ない場合がある
▼2024年改定の全体像をもう一度確認しておきたい方はこちら
【知らないと減算⁈】訪問看護の2024年介護報酬改定|リハビリの変更点など徹底的に読み解きます!
2025年の緊急補助金はここが違う

正式名称は『令和7年度介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業』です。
2025年12月末に通知が出されたこの補助金は、2026年の新加算に向けた準備的な位置づけとなっています。
2025年補助金の金額と計算方法
訪問看護は「処遇改善加算対象外サービス」として扱われます。補助金額は、事業所の介護報酬額に応じて自動的に決まる仕組みです。
補助金の計算式は以下のとおりです。
補助金額(6ヶ月分) = 令和7年12月の介護報酬 × 13.2%
参照:厚生労働省『介護保険最新情報Vol.1454(令和7年度介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業の実施について)』
計算例: 基準月(R7年12月)の介護報酬が200万円の場合、補助金額は26.4万円(6ヶ月分)、月額換算で約4.4万円です。
補助金を受けるための要件
補助金を受けるには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
【要件A】生産性向上・協働化の取組(推奨)
以下のいずれかを実施していること:
- ケアプランデータ連携システムに加入している
- 法人が社会福祉連携推進法人に所属している
▼ケアプランデータ連携システムについてはこちらを参照してください。
ケアプランデータ連携システムとは?紙・FAXから卒業する導入完全ガイド
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新たなシステム導入の手間なく、スムーズに補助金の要件を満たせます。
【要件B】処遇改善加算(Ⅳ)に準ずる要件
以下の3つをすべて満たすこと:
- 任用要件・賃金体系の整備: 職位・職責に応じた賃金体系を就業規則等で定め、職員に周知
- 研修の実施: 資質向上のための研修計画を策定し、実施
- 職場環境改善の取組: 別紙の職場環境等要件から、区分ごとに1つ以上、生産性向上の取組から2つ以上を実施
※要件Aを満たす場合、要件Bも満たしたものとみなされます。
※申請時に要件を満たすことを誓約すれば、実績報告時までに整備すればOKです。
補助金の使い道
受け取った補助金は、以下に充てる必要があります。
- 賃金改善: 補助金の全額を介護従事者(看護師、PT、OT、ST、事務職員など)の賃金改善に充てる
- 配分方法: 基本給、手当、賞与など、事業所が自由に決定できる(ただし、退職手当は除く)
- 配分の注意点: 一部の職員に集中させるなど、著しく偏った配分は不可
2026年の新・処遇改善加算の全体像
2026年6月から導入予定の新・処遇改善加算は、介護報酬に組み込まれる恒久的な制度です。

訪問看護の加算率
訪問看護の介護職員等処遇改善加算の加算率は1.8%です。
計算方法
処遇改善加算は、所定単位数(基本報酬に加算減算を加えた総単位数)に加算率を掛ける形で計算します。
加算額 = 所定単位数 × 1.8%
参照:厚生労働省『令和8年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案』
例: 月間の所定単位数が300,000単位(売上約300万円)の訪問看護ステーション
- 300,000単位 × 1.8% = 5,400単位
- 5,400単位 × 地域単価(例:10円) = 54,000円/月
この金額が、毎月の介護報酬に上乗せして支払われます。これを原資として、職員の賃上げや一時金の支給を行うことになります。
2026年新加算の算定要件
新たに対象となる訪問看護では、以下のいずれかの要件を満たすことで算定可能です。
【要件A】加算Ⅳに準ずる要件
- 任用要件・賃金体系の整備: 職位・職責に応じた賃金体系を就業規則等で定め、職員に周知
- 研修の実施: 資質向上のための研修計画を策定し、実施
- 職場環境改善の取組: 区分ごとに1つ以上、生産性向上の取組から2つ以上を実施
【要件B】令和8年度特例要件
- ケアプランデータ連携システムに加入し、実績の報告を行う
- 社会福祉連携推進法人に所属している
参照:厚生労働省『令和8年度介護報酬改定について(社保審−介護給付費分科会 第253回 R8.1.16)』
💡2025年補助金の要件と2026年新加算の要件はほぼ同じです。2025年補助金で準備した体制が、そのまま2026年新加算でも使えます。
また、2026年新加算についても、2025年補助金と同様に、申請時点では「誓約」での算定が可能となる見込みです。小規模事業所にとって、無理なく準備を進められる安心材料といえます。
処遇改善加算が訪問看護と連携サービスに与える影響

訪問看護だけでなく、訪問リハビリや居宅介護支援も初めて対象となります。
訪問リハビリテーション
- 2025年補助金: 交付率10.8%(6ヶ月分)
- 2026年新加算: 加算率1.5%
居宅介護支援(ケアマネ)
- 2025年補助金: 交付率15.0%(6ヶ月分)
- 2026年新加算: 加算率2.1%
地域包括ケアへの影響
訪問看護、訪問リハ、居宅介護支援が同時に処遇改善の対象となることで、地域包括ケアシステム全体に以下の影響が期待できます。
- 連携する職種間の待遇格差が縮小:訪問看護とケアマネの待遇差が小さくなる
- 人材確保がしやすくなる:在宅サービス全体の魅力が向上し、人材が集まりやすくなる
- 職員のモチベーション向上:待遇改善により、職員の定着率が向上
- ケアの質の向上:職員が安心して働ける環境が整い、利用者へのケアの質が向上
小規模訪問看護ステーションが処遇改善加算(2025年補助金)を申請すべき3つの理由

小規模ステーションが今回の補助金申請を見送ることには、いくつかのリスクがあります。
1. 2026年新加算への準備として有効
2026年から開始される新・処遇改善加算は、2025年補助金の要件(職場環境改善、生産性向上への取り組み)をベースに設計される見込みです。
2025年補助金の申請で構築した体制は、2026年の新加算取得にそのまま活用できる可能性が高く、事前準備としての意義があります。2025年補助金に対応しなかった場合、2026年に改めて制度対応が必要となります。
2. 人材流出リスクへの対応
訪問看護業界では人材確保が重要な経営課題となっています。近隣ステーションが補助金を活用して月1万円のベースアップを実施した場合、以下のような状況が生じます。
- 補助金活用ステーション:月給30万円 → 31万円
- 現状維持ステーション:月給30万円
求職者は待遇を比較検討するため、補助金を活用しないことが相対的な待遇低下につながる可能性があります。
▼「スタッフが定着しない…」とお悩みの管理者様は、こちらも合わせてご覧ください
訪問看護ステーション管理者のよくある悩みを解決!効果的なマネジメントを徹底解説
3. システム活用による事務負担の軽減
2024年のベースアップ評価料導入以降、訪問看護専用ソフト(レセプトソフト)の多くが処遇改善加算の自動計算機能を実装しています。
例えば『えがおDE看護』なら、日々の記録入力時に処遇改善加算の項目を選択するだけで、あとはシステムがすべて自動計算します。請求時に複雑な計算をする必要がないため、事務負担は劇的に軽くなります。
もちろん、2026年6月から始まる新加算についても対応予定ですので、安心してシステムをお使いいただけます。
小規模ステーションでは、事務作業の効率化が重要です。ソフトウェアの活用により、管理者は本来の業務(ケアや採用)に注力できます。
▼訪問看護ソフトを導入すれば、計算の手間が大幅に削減できます。
訪問看護ソフトとは?|運営状況の可視化から業務効率化まで徹底解説
訪問看護の処遇改善加算(令和7年度補助金)への準備ステップ

申請にあたり事業所内で進めておける準備手順を解説します。
都道府県の要綱確認と申請期間の把握
今回の補助金(支援事業)の実施主体は都道府県です。厚労省または都道府県から送付される通知を確認し、申請期間を把握しましょう。
(参考例: 大阪府「令和7年度 福祉・介護職員等処遇改善加算等について」)
多くの自治体では、2025年12月からの賃上げを遡及して対象としており、まもなく申請受付が開始される見込みです。申請期間が限られるため、締め切り日の確認が必要です。
申請前に準備すべきこと
申請には、以下の準備が必要です。
① 就業規則・賃金規程の確認(別則でも可)
補助金による賃上げをルール化する必要がありますが、必ずしも本体の就業規則をすぐに書き換える必要はありません。
今回の補助金は期間が決まっているため、賃金規程の別則や一時的な申し合わせ(内規)として作成し、スタッフに周知する方法が現実的です。これなら、2026年の新加算で金額が変わった際も柔軟に対応できます。
※従業員10人以上の事業所は、変更内容を労働基準監督署へ届け出る必要があります。
② 職場環境改善の取り組み選定
以下のような取り組みを実施または計画します。
- 現場の課題の見える化(業務の洗い出しや棚卸し)
- 業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームなど)
- 業務内容の明確化と適切な役割分担
③ 申請書類の準備
主な必要書類は以下のとおりです。
- 賃金改善計画書
- 職場環境改善の取り組み計画書
- 就業規則・賃金規程(変更がある場合)
- 対象職員の名簿
都道府県により必要書類が異なる場合があります。
顧問社労士への相談テンプレート
自分一人で抱え込まず、プロ(顧問の社労士や税理士)に相談しましょう。
「なんて聞けばいいか分からない」という方は、以下の文面を参考にして送ってみてください。
【社労士への相談メール文面案】
件名:訪問看護の処遇改善(令和7年度支援事業)の申請について
〇〇先生
いつもお世話になっております。訪問看護ステーション△△の吉田です。
ニュース等で話題になっている「令和7年度 介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業(2月からの補助金)」についての相談です。
当ステーションでも、スタッフの離職防止と来年の報酬改定への準備として、この補助金を活用したいと考えております。
- そもそも当事業所はこの補助金の対象になりますでしょうか?
- 申請にあたり、現在の給与規定の見直しや、就業規則の変更が必要になりますでしょうか?
- 補助金活用、また6月からの加算申請での賃上げ実施に向けて、どのようなスケジュールで動けばよろしいでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、ご教示いただけますと幸いです。
専門家への相談により、申請に必要な準備を確認できます。
▼他の加算も漏れがないか、この機にチェックしておきませんか?
【一覧表あり】医療保険による訪問看護の加算総まとめ|2024年診療報酬改定対応
訪問看護の処遇改善加算に関するよくある質問

補助金と新加算に関してよく寄せられる質問をまとめました。
Q1:小規模ステーションでも補助金の対象になりますか?
A: はい、対象になります。事業所の規模による制限はありません。人員基準を満たす小規模ステーション(看護師2.5名〜)であれば申請可能です。
ただし、都道府県により詳細な要件が異なる場合があるため、自治体の要綱を確認してください。
Q2:2025年の補助金と2026年の加算は両方取得できますか?
A: はい、両方取得できます。
- 2025年12月〜2026年5月:補助金で賃上げ
- 2026年6月以降:新加算に移行
補助金で構築した体制(職場環境改善、賃金規程など)は、そのまま新加算の要件として活用できます。
Q3:補助金はいつから支給されますか?
A: 2025年12月分から対象となります。ただし、実際の支給時期は都道府県により異なります。
多くの自治体では、以下のスケジュールが想定されています。
- 2026年1月〜2月:申請受付
- 2026年3月〜4月:審査・交付決定
- 2026年5月〜6月:一括支給(12月分からの遡及分含む)
申請から支給まで数ヶ月かかる場合があるため、資金繰りに注意が必要です。
Q4: 加算が減額された場合のリスクが心配です。給与はどう設計すべきですか?
A: すべてを「基本給」にするのではなく、「手当」や「一時金」と組み合わせて設計するのが賢い方法です。
一度上げた基本給を下げることは困難ですが、手当や一時金なら制度変更に合わせて柔軟に対応できます。
【リスクに強い賃金配分モデル】
| 項目 | 特徴 | 向いている財源 |
| ① 基本給 | 毎月固定で支給。 スタッフの安心感大。 | 確実に見込める増収分 |
|---|---|---|
| ② 処遇改善手当 | 加算額に応じて変動可能。 制度変更に強い。 | 加算の大部分 (例:加算額×〇%) |
| ③ 一時金・賞与 | スポットでの支給。 柔軟な配分が可能。 | 期間限定の補助金(今回など) 業績連動分 |
このように分散させることで、経営の安全性を保ちながらスタッフへの還元を最大化できます。
まとめ

2026年の介護報酬改定に向けて、処遇改善制度は大きく動き出しています。一見複雑に見える2025年補助金と2026年新加算ですが、補助金は新加算への準備期間と捉えることで、スムーズな移行と体制整備が可能になります。
訪問看護だけでなく、連携する訪問リハビリや居宅介護支援も対象となる今回の改定は、地域包括ケアシステム全体で待遇改善が進む大きなチャンスです。早めの情報収集と顧問社労士への相談、そして現場の負担を減らすシステムの活用で、スタッフが安心して働ける環境を整えましょう。
最後までお読みくださりありがとうございました。





