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「介護保険の請求ルール、改定のたびに複雑になっていく……」
「加算や減算の要件を正確に把握して、ステーションの経営を安定させたい」
実際、介護報酬の算定ルールは改定ごとに複雑さを増しており、「なんとなく対応している」状態では算定漏れや減算リスクが生じやすくなっています。
特に、令和8年度(2026年度)の改定では、ベースアップ評価料の引き上げや物価対応料の新設、同一建物減算の逓減ルールの厳格化、そしてBCP(業務継続計画)未策定減算の本格適用など、経営と実務に直結する重要な見直しが行われました。
この記事では、介護保険による訪問看護の仕組みから、介護報酬の具体的な計算手順、加算・減算の判定ルールまで、現場を兼務する忙しい管理者様が押さえるべき、令和8年最新のポイントを解説します。

日本の訪問看護は、利用者の病状や年齢に応じて「介護保険」または「医療保険」のいずれかが適用されますが、制度上、介護保険法は健康保険法(医療保険)より優先されるというルールがあります。
要支援者または要介護者に認定されている方が訪問看護を利用する場合、一部の例外(がん末期、厚生労働大臣が定める疾病など)を除いて、原則として介護保険が適用されます。
医療保険と介護保険のどちらが適用になるかの詳しい判定ルールはこちら⇒
介護保険における訪問看護の需要は、毎年大きく拡大しています。
厚生労働省の統計データによると、要支援者向け(介護予防訪問看護)の利用者は約10万人、要介護者向け(訪問看護)の利用者は約59万人に達しており、要介護者の利用者は毎年約4万人という非常に速いペースで増加し続けています。

利用者の要介護度別の割合をみると、「要介護2」の利用者が最も多く、次いで要介護1, 要介護3と続きます。軽度から中等度の要介護者がボリュームゾーンとなっています。

また、利用者の傷病分類では、高血圧や心不全などの「循環器系の疾患」を抱える方が最多であり、脳血管疾患や認知症を患う方も高い割合を占めています。介護度が高くなるにつれ、浣腸や導尿などの医療処置, 褥瘡(床ずれ)の予防・手当て, そしてご家族への支援・指導の必要性が高まる傾向があります。

要介護度別の訪問看護実施状況は以下の2つのグラフのとおりです。
リハビリテーションはどの介護でも5割前後実施されています。介護度が高くなるにつれ家族への指導、浣腸など医療処置を含む排泄援助, 清潔援助, 褥瘡予防などの実施割合が高くなっています。


介護保険が適用される訪問看護のサービス費用を「介護報酬(介護給付費)」と呼びます。
介護報酬は、以下の2ステップで計算します。

サービス内容や提供時間に応じて定められた「基本報酬(基本単位数)」をベースに、ステーションの運営体制や利用者の状態に合わせた「加算」を足し、条件に該当する場合は「減算」を引き算して、最終的な「合計単位数」を算出します。
以下は、訪問看護における基本単位数です(令和6年6月改定で導入され、令和8年度現在も継続している数値です)。
| 訪問時間・職種 | 要介護(訪問看護) | 要支援(介護予防訪問看護) |
| 20分未満(看護師等) | 314単位 | 算定なし |
| 30分未満(看護師等) | 471単位 | 295単位 |
| 30分以上1時間未満(看護師等) | 823単位 | 563単位 |
| 1時間以上1時間30分未満(看護師等) | 1,128単位 | 817単位 |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問 | 294単位 | 276単位 |
※指定訪問看護ステーションにおける単位数です(病院または診療所は異なります)。
※理学療法士等による訪問は、1回につき20分以上サービスを提供した場合に算定します(要支援者へのリハビリは、週2回・月8回までといった回数制限があります)。
※指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と連携してサービスを行う場合は、要介護のみ1月につき2,954単位を算定します。
STEP1で算出した合計単位数に、事業所が所在する市区町村ごとに設定された「1単位あたりの単価」を掛け算して、実際の介護報酬額(円)を求めます。
人件費の地域差などを考慮し、全国の市区町村は1級地からその他(8つの区分)に分けられています。訪問看護における地域区分と1単位の単価は以下のとおりです。
| 1級地(東京23区など) | 2級地 | 3級地 | 4級地 | 5級地 | 6級地 | 7級地 | その他 | |
| 上乗せ割合 | 20% | 16% | 15% | 12% | 10% | 6% | 3% | 0% |
| 1単位の単価 | 11.40円 | 11.12円 | 11.05円 | 10.84円 | 10.70円 | 10.42円 | 10.21円 | 10.00円 |
※具体的な地域区分については、厚生労働省の最新の告示(地域区分表)を確認してください。
在宅における中重度者や医療ニーズの高い利用者へ高品質な看護を提供できるよう、様々な加算制度が設けられています。
介護報酬の加算項目は主に以下のとおりです。
| 加算項目 | 単位数 | 届出 | ポイント | 内容・要件 |
| 緊急時訪問看護加算 | 574単位/月 | ◎ | 24時間の訪問看護体制 | 利用者・家族と合意し、24時間連絡・対応体制を整備している場合。 |
| 特別管理加算 | (Ⅰ) 500単位/月 (Ⅱ) 250単位/月 | ◎ | 対象者への計画的な管理 | (Ⅰ)気管カニューレや留置カテーテル装着者、悪性腫瘍指導管理者等。 (Ⅱ)酸素療法、経管栄養、褥瘡(真皮超)、週3回以上の点滴等。 ※詳細な条件は特別管理加算解説ページをご参照ください。 |
| ターミナルケア加算 | 2,000単位/月 | ◎ | 看取り期のケア | 主治医と連携し、死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを実施。 |
| 初回加算 | 300単位/月 | × | 初回利用月 | 新規に訪問看護計画を作成してサービスを提供(過去2ヶ月間利用がない場合も含む)。 ※初回加算の要件詳細 |
| 退院時共同指導加算 | 600単位/回 | × | 退院時の多職種指導 | 入院中(病院・老健等)に、病院職員と合同で指導を行い、退院後訪問看護を開始。 |
| 訪問看護体制強化加算 | (Ⅰ) 500単位/月 (Ⅱ) 200単位/月 | ◎ | 高度な看護体制の整備 | 緊急時加算50%以上、特別管理加算20%以上、ターミナルケア実績(Ⅰは5名、Ⅱは1名以上/年)等。 |
| サービス提供体制強化加算 | (Ⅰ) 6単位/回 (Ⅱ) 3単位/回 | ◎ | 質の高いサービス体制 | 研修計画の策定、会議の定期開催、職員の勤続年数(Ⅰは7年以上が30%以上)等の基準を満たす体制。 |
| 複数名訪問加算 | 区分により異なる | × | 2名での同行訪問 | 利用者の身体的理由や暴力行為等により、複数名(看護師同士、または看護師と補助者)で同行訪問した場合。 |
| 看護・介護職員連携強化加算 | 250単位/月 | × | 介護職との連携 | 看護職員が訪問介護員に対し、喀痰吸引等の計画書・報告書作成支援や指導を行った場合。 |
| ベースアップ評価料 | 最新告示による | ◎ | 【令和8年度改定】 | 令和8年度改定でさらなる処処遇改善を後押しするために新設・引き上げ。介護職員以外の看護職員の賃上げをサポート。 |
| 訪問看護物価対応料 | 月初日: 60単位 2回目以降: 20単位 | × | 【令和8年度改定】 | 令和8年度改定で新設された物価・高騰対策加算(令和9年度以降はさらに拡充)。 |
利用者の重症度や緊急度により、1人の利用者に複数の訪問看護ステーションが同時に介入(サービス提供)することがあります。その際、すべての加算を両方のステーションで二重に算定することはできません。
| 複数の訪問看護ステーションが算定できる加算 |
|---|
| 初回加算 早朝・夜間・深夜加算 複数名訪問加算 長時間訪問看護加算 看護・介護職員連携強化加算 |
| 1つの訪問看護ステーションでのみ算定できる加算 |
|---|
| 緊急時訪問看護加算 特別管理加算(Ⅰ・Ⅱ) ターミナルケア加算 退院時共同指導加算 |
介護報酬には、サービス体制や効率化の度合いに応じて報酬額を引き下げる「減算制度」があります。
| 減算項目 | 減算率・単位数 | 主な要件・特徴 |
| 同一建物減算(集合住宅減算) | -10% または -15% | 同一敷地内の建物や、多数の利用者が居住する集合住宅に訪問する場合。 |
| 准看護師による訪問 | -10% / 回 | 看護職員のうち、准看護師が訪問サービスを実施した場合。 |
| リハ職による訪問 | -10% / 回 | PT・OT・STが看護業務の一環として訪問リハビリを提供した場合。 |
| BCP(業務継続計画)未策定減算 | 所定の割合を減算 | 感染症や自然災害対策のBCP(業務継続計画)が未策定の事業所に対する減算(令和7年度末の経過措置終了に伴う本格適用)。 |
集合住宅への訪問は、移動コストや時間が大幅に節約できるため、効率的な運営に対する評価として減算が適用されます。
※ただし、広大な敷地で建物間の移動に著しく時間を要する場合など、サービスの効率化に繋がらない合理的な理由がある場合は、例外的に減算対象外となるケースもあります。また、令和8年度改定に伴い、同一建物内における訪問開始・終了時刻の正確な記録と管理が厳格化されています。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士(リハビリ職)が要支援者(介護予防訪問看護)に対して1日に3回以上の訪問看護を行った場合、3回目以降の単位数は50%減算(半額)となります。
リハビリ職による訪問看護は「看護師の代行」として実施される位置づけであり、要支援者に対しては通所リハビリや地域での自主的な介護予防活動への移行が推奨されているため、このような厳しい減算ルールが設けられています。

⇒ はい、同日に算定可能です。
ケアプランの支給限度額の範囲内であれば同日算定に制限はありません。ただし、訪問看護ステーションからのリハビリ職による訪問と、医療機関や老健からの訪問リハビリを併用する場合、介護保険の優先ルールや、同日訪問の間隔設定(原則2時間以上あける等)に配慮が必要です。
⇒ 毎日実施するには「在宅患者訪問点滴注射指示書」が必要です。
医師から週3回以上の点滴が必要と認められた場合、週1回(有効期間最大7日間)を限度として「在宅患者訪問点滴注射指示書」の交付を受けることで、介護保険の範囲内でも毎日点滴管理のために訪問することができます。
なお、病状の急性増悪等で週4日以上の頻回な訪問が必要な場合は、通常の「特別訪問看護指示書」が交付され、一時的に医療保険での訪問看護へと切り替わります。
⇒ はい、適用されます。
指定難病をお持ちの要介護者が受ける訪問看護についても、「特定医療費助成制度(公費負担番号54)」が適用されます。さらに、一部の指定難病(筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病など)は、40〜64歳の第2号被保険者が介護保険を申請する際の「16の特定疾病」にも指定されています。
⇒ 対象となる訪問看護のみ適用されます。
介護保険のケアプランに基づく訪問看護のうち、精神障害に対するサービス分に限り、自立支援医療の対象となります。利用者の自己負担上限月額(世帯所得に応じて決定)を超えた部分が公費として請求されます。

介護保険による訪問看護は、地域で暮らす高齢者の在宅療養を支える上で欠かせない存在です。
しかし、管理者は「医療保険と介護保険の優先判定」に加え、「地域区分単価の計算」「多数の複雑な加算の算定」、さらには「同一建物減算の逓減計算」や「BCP義務化」など、非常に負担の重い事務処理を抱えることになります。
これら複雑な算定業務をミスなく効率的に行うには、信頼できる訪問看護専用システムの活用が不可欠です。
訪問看護ソフト「えがおDE看護」は、26年以上にわたり現場の意見や法改正の歴史に寄り添い続けてきた、電子カルテ・レセプト請求システムです。
ベースアップ評価料の自動算出や、判断の難しい同一建物減算の自動逓減判定、自立支援医療の管理など、レセプト請求に必要な計算をワンクリックで正確に行います。管理者の事務負担を最小限に抑え、スタッフが「良質な看護サービスの提供」に専念できる環境作りをサポートします。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
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