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【今更きけない】LIFE(科学的介護情報システム)とは?管理者向け 業務負担軽減の実践ガイド

【今更きけない】LIFE(科学的介護情報システム)とは?管理者向け 業務負担軽減の実践ガイド

公開:

2025年7月2日

更新:

2025年7月2日

「LIFEの導入は進めたものの、日々の記録や情報提出、増え続ける帳票管理に追われ、現場の負担が増している…」
「これから導入を検討しているが、業務が回らなくなるのでは…」

そんなお悩みを抱える介護施設の管理者も多いのではないでしょうか。

この記事では、LIFE運用の課題を解決し、業務効率を飛躍的に高める具体的な方法を、現場の情報も交えて徹底解説します。

ぜひ最後まで読み、質の高い介護と安定経営を実現するヒントを見つけてください。

目次

LIFE(科学的介護情報システム)の基本と目的


まずは、介護施設の管理者が押さえておくべきLIFEの基本的な知識と、その目的について分かりやすく解説します。



LIFE(ライフ)とは、Long-term care Information system For Evidenceの略で、厚生労働省が推進する「科学的介護情報システム」です。全国の介護施設から利用者の状態やケア情報を収集・分析し、フィードバックすることで介護の質向上を目指します。

「科学的介護」とは、経験や勘だけでなく、データやエビデンス(科学的根拠)に基づいてケアを実践することです。多様化する介護ニーズに応え、質の高いサービスを提供するために不可欠な考え方といえるでしょう。

LIFEは、この科学的介護実現の基盤です。ケア情報を集約・評価することで、より良いケア方法の開発や個別最適なケアプラン作成を支援し、介護現場全体の質の底上げに貢献します。



LIFEの導入・活用により、介護現場で利用できる主な機能と期待される変化は以下のとおりです。

主な機能

  • 情報収集・蓄積: 利用者の心身状態やケア計画・内容に関するデータを国指定様式で収集・蓄積
  • データ比較・分析: 自施設データを全国データと比較・分析した結果をフィードバック
  • ケアプランの質向上: 客観的データに基づきケアプランを作成・見直し


期待される変化

  • PDCAサイクルの推進: 介護現場でのPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を促進
  • 多職種連携の円滑化: 客観的データに基づく円滑な情報共有
  • 加算算定要件の充足: 特定の介護報酬加算の算定に、LIFEへのデータ提出と活用が必須

 



現時点(2025年6月)で、LIFEシステム自体の利用が全事業所に法的に義務付けられているわけではありません。

しかし、科学的介護推進体制加算など多くの加算では、LIFEへのデータ提出とフィードバック活用が必須です。これらの加算を目指す施設にとって、LIFE導入は実質的に不可欠といえます。

今後はLIFE活用を前提とした加算の拡大やデータ活用の範囲拡大が予想されます。最新情報を確認し、早期の対応準備を進めることが安定運営には賢明でしょう。

LIFE導入で業務負担は増える?管理者が直面する課題と解決策


LIFEの導入は介護の質向上に繋がる一方、「業務負担が増えるのでは?」という不安の声も聞かれます。

この章では、多くの介護施設がLIFE運用で直面する可能性のある課題と、その解決に向けた視点について解説します。



LIFEへの対応を進める中で、特に記録、請求、そして増え続ける帳票の管理に関して、多くの施設が以下のような課題を感じています。


介護記録と医事請求システムが別々に運用されていると、LIFEへの情報提出時に転記や再入力が発生し、業務が非効率です。この二度手間は現場の負担を増やし、特に請求担当部署に業務が集中する要因となっています。


LIFEの情報収集項目は多岐にわたり、関連帳票も増加傾向にあります。手書きやExcelでの個別管理は、作成・管理に膨大な時間を要するうえ、手入力ミスも起こりやすくなります。


関連帳票の増加もあり、ペーパーレス化は遅れがちです。紙での情報共有は非効率で、保管スペース、検索の手間、紛失リスクなども課題となっています。



LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用は、多くの介護報酬上の加算を取得するための重要な鍵となります。

これらの加算は、施設の収益向上だけでなく、科学的根拠に基づいたケアの質の向上を促すものであり、管理者としては見逃せないポイントです。


LIFEへのデータ提出が算定要件となる主な加算には以下があります。

加算名目的・内容
科学的介護推進体制加算LIFEへ情報提出し、フィードバック活用でケアプラン改善等を行う体制を評価。ケアの質向上を目指す
ADL維持等加算利用者のADL維持・改善度合いが一定水準以上の場合に算定。LIFEへのデータ提出が前提
その他褥瘡マネジメント加算、排せつ支援加算、栄養アセスメント加算、口腔機能向上加算等、多数の加算でLIFE活用が求められる


これらの加算は、ケアの専門性・効果を客観的に示し評価される機会でもあります。


LIFE関連加算の算定には、データ提出に加えフィードバック情報の活用が不可欠です。PDCAサイクルでケアプランを見直し、質改善に繋げることが求められます。

PDCAサイクルの実践

  1. Plan(計画): 利用者評価とLIFE提出項目を考慮しケアプラン作成
  2. Do(実行): ケアプランに基づき質の高いケアを実践
  3. Check(評価): 定期的な再評価とLIFEへデータ提出。フィードバックで施設の状況・課題を把握
  4. Action(改善): フィードバックと再評価結果からケアプラン・体制を見直し改善


LIFEの業務負担を介護ソフトで劇的に減らす活用術


日々の記録、煩雑なLIFEへのデータ提出、介護保険請求。これら一連の業務は、介護ソフト導入で負担を大幅に軽減し、効率化が可能です。本章ではその具体的な方法を解説します。



LIFE運用において、介護ソフトの効果は多岐にわたります。


多くの介護ソフトは、日々の記録がLIFE提出データや請求情報と自動連携する「一気通貫」の仕組みを備えています。これにより、情報の転記作業や二重入力の手間が大幅に削減され、ヒューマンエラーのリスクも軽減されます。


LIFEへのデータ手入力は時間とミスの温床です。多くの介護ソフトは、LIFE指定形式のCSVデータを出力できる「CSV連携機能」を搭載しており、煩雑な手入力から解放してくれます。また、入力支援機能はミスや漏れを防ぎ、データ精度向上も期待できます。


LIFE関連帳票をシステム上で簡単に作成・一元管理でき、ペーパーレス化を推進します。電子化された帳票は必要な時にすぐ検索・参照できるため、情報共有もスムーズになり、施設全体の情報管理体制の強化にも貢献します。



ソフト未導入施設が抱えるLIFE運用のリアルな実態と、ソフト導入による変化をみてみましょう。


厚生労働省の調査によると、令和5年の時点で約2割の事業所がLIFEへのデータ提出を画面上で直接手入力しています。

現場では、職員が過去の記録を必死にめくりながら、LIFEの様式に数値を転記しています。

特に大変なのが、3ヶ月に一度の計画見直しの時期です。

「開始日が利用者様ごとに違うから、常に誰の評価時期なのかを把握していないと忘れてしまう…」

「月末や月初は、この見直し作業と請求業務で残業が当たり前にな…っている…」


カンファレンスの際も、必要な書類がすぐに見つからず、議論が中断してしまうこともしばしば。職員の方々の貴重な時間が、本来のケアではなく、書類探しやデータ入力に費やされているのが現状です。

(出典:R5厚生労働省「LIFE の活用状況の把握および ADL 維持等加算の拡充の影響に 関する調査研究事業」p.3)



ソフト導入後の実際の声をご紹介します。

「タブレットで記録が終わるので、残業がほぼゼロになりました!空いた時間で利用者さんと少し余裕をもって話せるようになって、本当に嬉しいです。LIFEの提出もCSV出力で一瞬です。」

「計画の見直し時期はソフトが自動で知らせてくれるので、もう『うっかり忘れ』の心配がありません。職員の精神的な負担が減ったのを実感しています。」


このように、介護ソフトの導入は、現場に以下のような改善をもたらします。

  • 時間短縮
    • ケアの合間にその場で記録が完了
    • LIFEへのデータ提出はCSV出力で数分に
  • 「抜け漏れ」防止と精神的負担の軽減
    • 計画の見直し時期をシステムが自動計算し、アラートで通知
  • スムーズな情報共有
    • カンファレンスで全員がモニターで同じデータを見て議論
    • ペーパーレス化で書類探しの手間がゼロに


職員の負担を減らし、結果として利用者様へのケアの質を向上させる、施設経営の根幹を支える重要な投資といえるでしょう。



ここでは、ソフト選びで失敗しないための3つの重要なポイントを解説します。


まず、ソフトが自施設の「今」に合っているかを確認します。

  • 事業所の規模・サービス種別
    自施設の規模や提供サービスに対応しているかを確認しましょう。特に算定したいLIFE関連加算の様式が含まれているかは必須の確認項目です。
  • 既存システムとの連携
    特に重要なのが、現在使用している医事会計システム(請求ソフト)との連携です。もし連携できなければ、記録から請求までが一気通貫にならず、効率化の効果が半減します。連携不可の場合は、乗り換えの要否やコストも併せて検討が必要です。



次に、実際の「使いやすさ」と「安心感」を確かめます。

  • 直感的な操作性
    ITが苦手な職員でも使えるか。無料トライアルやデモを利用し、複数の職員で実際に操作感を試すことが重要です。
  • 手厚いサポート体制
    導入時から運用後まで安心できるか。電話サポートの対応時間、訪問サポートの有無、マニュアルの充実度などを比較します。
  • 豊富な導入実績・事例
    自施設と類似の施設での導入実績は信頼の証です。公式サイトの導入事例は、具体的な活用イメージを掴む参考になります。



最後に、コストとそれに見合うリターンを冷静に判断します。

  • 料金体系の確認
    初期費用だけでなく、月額利用料(ランニングコスト)も確認します。従量課金制か定額制か、オプション料金の有無など、料金体系の全体像を把握しましょう。
  • 長期的な費用対効果の視点
    目先の安さだけで選ばず、人件費や消耗品費の削減、加算取得による収益増など、長期的なリターンを総合的に評価します。IT導入補助金などの活用も検討しましょう。


これから始める・見直すためのLIFE導入・運用ガイド


LIFE導入がこれからの施設、また現在の運用方法を見直したい場合は、以下の公式ガイドに沿った正しい手順をご確認ください。

厚生労働省:「LIFE 操作繭ある・よくあるご質問等」




LIFEの利用開始は、大きく分けて「事業所管理者による利用申請」と「管理ユーザーによる初期設定」の2段階で進めます。


  1. 新規利用申請: 公式サイトの[新規登録]から電子請求受付システムのID等で申請(※事前にID・パスワードを準備)
  2. 管理ユーザー設定: LIFE運用責任者となる「管理ユーザー」を登録
  3. 初期パスワード受領: 画面表示される初期パスワードを必ずメモ(※厳重に保管)
  4. 起動アイコン取得: 専用の「起動アイコン(LIFE.exe)」をダウンロード(※ログインに必須)



  1. ログインと端末登録: 起動アイコンからログインし、利用PCを「端末登録」
  2. パスワード変更: セキュリティのため、初期パスワードを変更
  3. 暗号化キー設定: 情報保護のための「暗号化キー」を設定(※必ずメモし、バックアップファイルで共有)
  4. 操作職員アカウント登録: データ入力を行う職員のアカウントを登録


 



LIFEの運用は「データを提出して終わり」ではありません。「フィードバック情報を活用してケアを改善する」までがワンセットです。日々の運用では、PDCAサイクルを意識することが重要です。


  • 提出タイミング
    • 原則として、サービス提供月の翌月10日までに提出が必要です。
    • 提出が遅れると加算が算定できなくなるため、スケジュール管理が非常に重要です。
  • 提出方法の選択
    • 手入力: LIFEの画面上で直接入力する方法。事業所の状況によっては手軽ですが、時間と手間がかかり、入力ミスのリスクも伴います。
    • CSV連携: 介護ソフト等で作成したCSVファイルを一括で取り込む方法。業務負担の軽減と正確性の向上に繋がり、多くの施設で推奨されています。



フィードバック情報とは、提出したデータを全国のデータと比較・分析した、自施設のケアの「成績表」のようなものです。この活用が、科学的介護の鍵を握ります。

  • 何が分かるのか?
    • ADLや栄養状態など、各評価項目の全国平均との比較
    • 自施設のケアにおける強みや、改善すべき課題の可視化
  • どう活用するのか?
    • ケアプランの見直し: 客観的データに基づき、より効果的なケアプランを作成する
    • カンファレンスの質向上: フィードバック情報を基に、多職種で具体的な議論を行う
    • 職員教育・研修: 施設全体の課題を共有し、スキルアップにつなげる


この「データ提出」→「フィードバック活用」→「ケアの改善」というPDCAサイクルを回し続けることが、LIFEを最大限に活用し、ケアの質を高めることに直結します。



スムーズな導入と運用のために、公式ガイドに基づき、事前に以下の項目をチェックリストとして確認・準備しておくことをお勧めします。


☐ [役割分担] :「管理ユーザー」と「操作職員」の役割を理解し、担当者を決めましたか?
☐ [PC環境]: 利用するPCが、公式ガイド記載の動作条件(OS、ブラウザ等)を満たしているか確認しましたか?
☐ [ブラウザ設定] :Cookieを有効にするなど、LIFE利用に必要なブラウザの初期設定は済んでいますか?
☐ [情報共有] :職員全員にLIFE導入の目的と、今後の運用フローについて説明しましたか?
☐ [目標設定] :どのLIFE関連加算の取得を目指すか、目標は明確ですか?


まとめ:LIFE活用で介護の質向上と施設経営を両立するために


LIFEの導入は、科学的根拠に基づいたケアを実現し、サービスの質を向上させる絶好の機会です。しかし、その過程で現場の業務負担が増大してしまっては、本来の目的を達成することはできません。

その最も効果的な解決策が、介護ソフトの戦略的な活用です。記録からLIFEへの連携、請求業務までを一気通貫で行い、煩雑な帳票管理や抜け漏れのリスクから職員を解放すること。それが、職員の満足度を高め、利用者一人ひとりと向き合う時間を生み出し、結果として「質の高い介護」と「安定した施設経営」の両立につながります。

ぜひ、自施設に合った業務効率化の方法を検討し、より良い運営にお役立てください。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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